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一転集中、力を尽くせば、必ず道が開ける その1
生きるか、死ぬかの、絶体絶命のピンチを、どう乗り切るか。
織田信長、二十七歳。尾張の統一を、一年前に果たしたばかりである。
そこへ、当代随一の戦国武将・今川義元が、二万五千の大軍を率いて迫ってくる。
信長の兵力は、その五分の一にも満たない。
家臣の中には、今川方に寝返る者も出てきた。
義元が、尾張へ侵入したのは、永禄三年(一五六〇)五月十七日。
信長の清洲城(きよすじょう・現在の愛知県清洲町にあった城で、信長の本拠であった)では、重臣会議が続いていた。
城にこもるか、打って出るか。
十八日の夜になっても結論が出ない。
信長は黙って聴いている。やがて、
「もう、夜も更けた。皆、帰って寝ろ」
と告げて、さっさと寝室に入ってしまった。
重臣たちは、「これで、織田家も終わりだ」
「やはり殿は、大うつけだ」と嘆きながら帰宅するしかなかった。
実は、信長の胸中には、秘策があった。
万に一つ、この危機を脱する方法があるとすれば、総大将・義元を奇襲し、一撃で倒すしかない。
そのためには、義元が、いつ、どこを通るのか、正確につかむ必要がある。
すでに、信長の指示で、数多くの密偵が活動していた。
会議で黙っていたのは、重臣の中にも今川と通じている者がいないとは限らないからであった。
事前に漏れては成功しない。極秘中の極秘なのだ。
信長は、万に一つの可能性に、命を懸ける覚悟をしていた。
本当の敗北は、「もうダメだ」「負けた」と思った瞬間から始まる。
後ろ向きな心は、物事を悪いほうへ悪いほうへ運んでいく。
「まだまだ」「なんとしても」という信念を持てば、道が開け、予想以上の結果を得られることが多い。
あきらめは禁物である。
信長は、一眠りした。
十九日、午前三時。最前線で戦闘が始まった。
今川軍が、織田方の砦へ総攻撃をかけたのだった。
(つづく)
●-sentetsu---●
「蒔けば生え 蒔かねば生えぬ 善し悪しの
人は知らねど タネは正直」
知っていてもあえて言わない。
言ったら浅くなる。
言わない人の話しは深く感じる。
できるだけよく知っていなければならない。
TAG : 織田信長
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